KABUKI: 変身を生み出す力

それを魔法と呼ぶ人もいる。けれど、私たちは彼をKABUKIと呼ぶ。
90年代、ニューヨークのクラブシーンで活躍した「クラブ・キッズ」の初期メンバーとして登場したKABUKI。舞台を思わせる大胆でエネルギッシュなルックが注目を集め、アンダーグラウンドシーンでその名を広めていきました。
その後、活躍の場をエディトリアルやランウェイショーへと広げ、見る人を惹きつける印象的なビューティールックを数多く生み出してきました。そして今回、M·A·Czine最新号のカバーも彼が手がけています。
伝説的なメイクアップアーティスト、KABUKIにインタビュー。メイクアップへのこだわりや、メイクがもたらす変身の力、そしてハロウィンメイクを最高に仕上げるためのヒントを聞きました。

 

2026年10月1日, BY VICKI LIANG

あなたもクラブの仲間

「クラブ・キッズ」として注目を集める以前から、KABUKIにとってメイクアップは、自分を表現するための大切な手段でした。それは幼い頃から心の中にあった、アーティストとしての感性を映し出すものでもあります。
「絵を描くことが大好きでした」と、KABUKIはM·A·Czineに語ります。
「メイクをすれば、もうひとりの自分になって、特別な力を手に入れることができる。絵を描くだけでなく、その絵の中を実際に生きているような感覚です」

メイクアップがもたらす変身の力を、KABUKIほどよく知る人はいないでしょう。
イギリスで生まれ、フロリダで暮らした後、19歳でニューヨークへ移住。活気に満ちたクラブシーンに身を投じるなかで、ドラァグ・ペルソナ「Kabuki Starshine」を生み出しました。これが、後に彼を象徴する幻想的なビューティールックの原点となります。
華やかで、この世のものとは思えないほど独創的なルックは、やがてファッション界の目に留まりました。そしてKABUKIは、数々の作品を手がけるメイクアップアーティストとして、本格的なキャリアを歩み始めます。

「メイクアップはアート。自分自身で表現し、その姿になれるアートです」

— KABUKI

メイクアップが秘める変身の可能性は、今もKABUKIを魅了し続けています。
「メイクアップはアート。自分自身がその作品になれるアートです」と彼は語ります。
「今は、メイクアップを楽しむ方法が本当にたくさんあります。オンラインにはひとつの大きな世界が広がっていて、そこで自分のアイデアを思いきり追求できる。自分の見た目とどう向き合うか、どんな自分を表現したいか。それさえも自由に変えられるのです」

魔法を生み出す、その素顔

長年の経験を重ねた今も、KABUKIは一つひとつのルックに、初めて向き合うような新鮮な気持ちで取り組んでいます。
「この仕事を長く続けていますが、いつも初めてのように感じます。毎回ワクワクするし、緊張もします」と、KABUKIはM·A·Czineに語ります。
「メイクアップは、さまざまな要素が重なり合って生まれるもの。その多くは予測できませんが、だからこそ面白い。舞台やライブシアター、映画制作にも似ています。どれだけ綿密に計画しても、そこには必ず何か即興的なものが生まれるのです」

KABUKIとM·A·Cの関係は、彼がニューヨークで活動を始めた頃にまでさかのぼります。以来、長きにわたってコラボレーションを重ねてきました。
「M·A·Cは、ずっと私の人生の一部でした。M·A·Cがあったからこそ、実現できたことがたくさんあります。クラブシーンでドレスアップを楽しんでいた頃も、M·A·Cはとても大きな存在だったのを覚えています」

2017年、KABUKIはM·A·Cのメイクアップを使う側から、自ら生み出す側へ。アイシャドウ、つけまつげ、リップスティックをそろえたコレクション「Kabuki Magic」を発表しました。
デヴィッド・ボウイの楽曲やジョーン・クロフォードの映画から名づけられたカラーは、どれも大胆で、自由な発想を楽しめるようにデザインされています。
「これは『This Modern Age』」と彼は語り、印象的なストーングレーの「リップスティック(レトロマット)」を取り出します。
「ほら、M·A·Cなら、こんなこともできるんです」

「ハロウィンは、普段なら勇気が出なくてできないことにも、思いきって挑戦できる絶好の機会だと思います」

— KABUKI

KABUKIが教える、ハロウィンメイク

今回のM·A·Czineのカバーをひと言で表すなら?
「可能性」とKABUKIは即答します。
「今回のメイクアップでは、未来へと広がる可能性の一端を表現しました。ひとつの顔から、まったく異なるさまざまな表情を生み出せることを伝えています」

変身の達人であるKABUKIは、ハロウィンメイクのエキスパート。自分自身や多くの人々にメイクを施すなかで、長年にわたりその技術を磨いてきました。KABUKIにとってハロウィンは、まだ知らない自分を表現できる特別な機会です。

「ハロウィンは、普段なら勇気が出なくてできないことにも、思いきって挑戦できる絶好の機会だと思います」と彼は語ります。
「大胆なハロウィンメイクに挑戦したいけれど、少し不安という人は、まず事前に試してみてください。時間に余裕があるときに、少しずつ試して感覚をつかんでおくのがおすすめです」

では、メイクが完成したとわかるのは、どんな瞬間なのでしょう。アイシャドウをひと塗りすることでも、グロスを重ねることでもありません。それは、理屈ではなく感覚でわかるもの。「完成したら、自然とわかります」とKABUKI。「その場にいる全員が、わかるんです」

ルックに使用した製品

エディターからのメッセージ

かつて M·A·Czine は、私たちにとってクリエイティブな遊び場でした。そこは実験を重ね、大胆なアイデアの数々を形にしてきた場所です。

M·A·Cには、ミニマルからマキシマルまで、思いのままにルックを楽しみ、自分らしさを表現するためのすべてが揃っています。そして今、世界が変わり、自信に満ちた大胆なメイクアップが再び注目を集めるこのタイミングだからこそ、M·A·Czine を復活させるのにふさわしいと感じています。

ようこそ、M·A·Czine へ。新たなチャプターをともに迎え、これからのビューティの未来を一緒に創っていきましょう。もう一度、メイクアップを心から楽しむときです。

— NICOLA FORMICHETTI, M·A·C グローバル・クリエイティブ・ディレクター





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